本対談では、スペシャルオリンピックス日本の幡谷真澄さんと、本プロボノ活動に関わっているコンサルタントの清水沙織、浦山佳菜恵が、活動内容や活動を通した気づきや想いなどを語り合いました。
スペシャルオリンピックス日本は、どのような活動をされていますか
幡谷: スペシャルオリンピックスとは、知的障がいのある人たちに様々なスポーツトレーニングとその成果の発表の場である競技会を、年間を通じ提供している国際的なスポーツ組織です。スペシャルオリンピックス日本は国際本部より認証をうけている国内本部組織で、コーチの育成、ナショナルゲームの開催、世界大会への選手団派遣を主に、「Be with all」のスローガンのもと、スペシャルオリンピックス活動の普及/促進にむけて活動しています。運営はボランティアと善意の寄付によって行われています。私個人の想いとして、スポーツを通じて知的障がいのある方への理解が深まることを願っています。いまだに知的障がいに対するスティグマも少なからずあると思うのですが、初めて会った人でも自然と関われるスポーツを通じて、心のバリアを取り除きたいと考えています。また、世界大会への参加が初の海外旅行となったという参加者もいらっしゃって、知的障がいのある方の生活に少しでも彩りをもたらせればと思っています。
マッキンゼー日本オフィスとは、どのような活動を一緒にされたのでしょうか
幡谷: 最初は2016年頃、知的障がいのある方への健康推進事業を立ち上げる際に、マッキンゼー日本オフィスの方々に手伝っていただきました。プログラム設計やKPI設定、考えられるリスクとその対処法の洗い出しなど、事業立ち上げの際に抑えるべきポイントを一緒に考えました。その後も随所随所で、清水さんや浦山さんに事業運営のアドバイスを頂いています。例えば、ボランティア人材確保に関する課題と解決案を一緒に洗い出しました。知的障がいのある方の大会参加には医師等のボランティアの協力が必要である一方、継続的な人材の確保が難しいという悩みを抱えていました。人材確保という大きな課題を、スペシャルオリンピックスの置かれた状況にカスタマイズしつつ細分化したことで、どこから手を付けるべきか非常に明確になりました。そして課題整理のおかげで、ある大学と連携して継続的にボランティアを提供いただくという活動案に辿り着き、連携を始めました。
清水: そう仰っていただき、とても嬉しいです。私もマッキンゼーで学んだ問題解決スキルが社会課題の解決にも活きることを実感できて良い経験となっています。論点ツリーを描くことで全体感を掴めますし、解決の糸口が見えると前向きな気持ちにもなりますよね。
浦山: 私も同感です。特に日本は寄付文化も発展途上で、リソースも限られている中、解くべき課題を優先順位づけするところに、問題解決スキルが活きると考えています。
幡谷: 課題整理以外にも、なかなか手を付けられていなかったデータ分析も行ってもらいました。各都道府県における数十の競技の参加者数やボランティア数等のデータは蓄積されているのですが、意味合い出しに手が回っていない状態でした。活動状況を見える化したことで、どの地域の活動が盛んでそれはなぜか、女性参加者を増やすためにはどのような競技を充実させるべきか等が見えてきました。早速、データ分析結果を頂いた翌日の会議において分析資料を使いました。また、COVID-19前後の参加状況の変化も見える化いただいたことで参加者数の回復傾向を知ることができました。COVID-19後の戦略立案に活用したいと思います。
今後の活動に向けた想いを教えてください
幡谷: データ分析や戦略に通ずる意味合い出し等、私たちの手が回っていないところにおいてご一緒できると嬉しいです。また私個人として、プロジェクトマネジメントやワークプランの建て方などが学びになっており、日々の仕事管理に取り入れています。いつまでに誰が何をやるべきか明確になると、仕事も加速化されるため、続けていきたいです。
浦山: 私は母子家庭で育ち、ここまで育ててくれた家族に感謝している一方で、子ども時代色々な制約が重なったときに、やりたいことに少しチャレンジしづらかったという経験がありました。どのような方であっても、やりたいことにチャレンジできる環境を用意する、というスペシャルオリンピックス日本の皆様の活動を後押しできれば幸いです。
清水: スペシャルオリンピックス日本のスローガンである「Be with all」、私たちを含めた皆がそれぞれの色を持っており、カラフルさを尊重する社会づくりに引き続き関わっていきたいです。