『マッキンゼーにこういった先進的な技術を使う専門部門があるとは知らなかった』
今でもセミナー等でQuantumBlackについて紹介した後、参加いただいた方からほぼ毎回聞く言葉です。イギリスで創業したQuantumBlackというスタートアップ企業がMcKinseyの一員となってから早7年、日本オフィスをオープンしてから数年たっても毎回このような言葉を聞くのは私含めたメンバーの至らなさでもあるのですが、同時に今から4年前私が自分の周りの人たちに伝えた言葉でもあります。
大学院を数学で卒業した後、新卒で日系の航空会社に入社した私は、そこで今日でいうビッグデータ分析とAI/機械学習をビジネスで活用するというコンセプトに初めて出会いました。航空会社では私はマーケティングの様々な分野で初歩的な機械学習モデルを使った新たな取り組みなどをしていました。
その後MBA留学を経て転職を考えていた私がコンサルタントを目指したのは、航空業界というある意味特殊な業界を出て次にどこに向かいたいのか自分の中で分からなかったため、コンサルタントになって色々な業界でプロジェクトをやってみれば自分が次に情熱を向けられる業界を見つけられると期待したからです。さらに数あるコンサルティング会社の中からマッキンゼーを選んだのは、周囲の人から「とにかく考え方や中の人材、クライアントがグローバルである」と聞いていたことと、MBA留学中に参加したイベントで出会ったマッキンゼー日本オフィスの人たちが人としてとても魅力的で一緒に働いてみたいと思ったことが理由でした。
そのような目的でマッキンゼーに入ったものですから、最初の2年ほどは特に業界やプロジェクトの種類を絞ることなく色々なプロジェクトに挑戦したのですが、偶然にもその中で1件、AI/機械学習モデルを使うプロジェクトに携わることができました。そしてその時、初めて「自分は特定の業界に行きたいのではなく、データとAIを活用してビジネスの変革に挑戦したいんだ」という自分の真の情熱に気づきました。同時に、マッキンゼーの中にもそういったデータやAIを活用したプロジェクトがあることも知りました。
自分の情熱とマッキンゼーの可能性に気づいた私は居ても立っても居られなくなり、周囲の色々な人に再びそのようなプロジェクトに携わるためにはどうしたら良いか相談し、その人たちがさらに他の方に顔を繋いでくれたりするうちにマッキンゼーにはQuantumBlackというAI/機械学習専門の部門があることを知り、冒頭の言葉に繋がりました。当時QuantumBlackは英・米・豪の3か所にしかオフィスがなかったため(2022年現在は日本を含めて9か所に拡大)自身の情熱についてパートナーや各コンサルタントの成長を担うPD(Professional Development)チームの方に理解いただき、QuantumBlackロンドンオフィスへの15か月間の転籍を実現することができました。
私が採用活動の場や新しく入ったコンサルタントの方によくお伝えしているのは “Author your own journey”という言葉とそれを私なりに理解した意味です。マッキンゼーには、情熱をもって何かに挑戦しようという人を全力で応援するカルチャーがあります。でもその情熱自体は、その人自身が大きな声で発信するまで誰にも伝わりません。良くも悪くも、マッキンゼーというある意味何でもできる広い海で何を目指し何をするかは、自分で決める必要があります。でもそこには様々なサポートがあって、皆それぞれが自分自身の情熱を追い求めている場所が、マッキンゼーという企業の本質なのかもしれないと感じています。