Metaverse Talks

次のビッグ・エクスペリエンスを構築する

メタバースはどのように価値をもたらすのか?

私たちはある意味で、メタバースの最初のハイプ・サイクルにまだおり、そのことが未来がどうなるかについて間違った認識を与える可能性がある。しかし、それはハイプ・サイクルがあるテクノロジーでは普通のことだ。幻滅期を越え、ベルカーブに沿って移動する過程で最終的にスケーラブルな価値を生み出す方法を見つける道筋である。

だからと言って初期の期間には価値が無いということではない。テクノロジーが進化するにつれて価値創造がどのようになるかを検討することも私たちの仕事だと考えている。そのテクノロジーは必ずしも消費者の手にはまだ届いていないが、いずれ届くだろうから。

ステージごとに価値を設計し、必要な専門知識とインフラを開発し、市場に最初に参入するか、すぐに追随できるようにしておく必要がある。その価値は見る人によって決まる。ユーザーは今後12、24、36ヵ月後に自分が何を求めているかを常に理解している訳では無いが、彼らはそれを見ればそれを求めているかどうか分かる。

そのため、これらの新しい現実を構築しているスタートアップや起業家のコミュニティの間で行われている高度な実験に常に注意を払うことが重要である。そうすることで、以前は想像もできなかったが、見たとたんに人々が求めていたものだと分かるものと、今後起こる可能性が高いものの橋渡しをすることができる。

たとえそれが長続きせず、流行と見なされていただけだとしても、現在の価値に沿って繰り返し検討を重ねることで、成長と学習のために必要な経験と専門知識を得ることができる。

メタバースは社会にどのような影響を与えるか?

ユーザーの安全は最優先事項であるため、ガバナンスが重要な役割を果たす。また、ユーザーの安全性とユーザーエクスペリエンスは、米国における言論の自由など、政府の政策や法律の解釈と混同されることがよくある。

これらは結果の自由と同義ではない。 しかし、世の中には、好きなことをしたり、言ったりできるべきだという誤った理解もある。実際には人々がメタバースを使用してどのように感じるか、使用することで享受できる価値にメタバースの成否がかかっているのである。

そして、これらの世界の1つがネガティブな体験を生み出し始めた瞬間、それは次の機会、次のメタバース、次の仮想世界へ、次のアプリへと地滑り的に広がり、ユーザーは離れていくだろう。

考慮すべきもう1つのことは倫理と、メタバースの中で奨励したい行動の種類である。プライバシーとデータの流通と安全性の課題もある。例えば、暗号資産と非代替トークン(NFT)のWeb3の世界では以前に想像していたよりも盗難のリスクが高いことは既に示されている。

そして実際にはあまり議論されないが、私たちが考えなければならないことは、例えば宇宙飛行士のトレーニングのような訓練やコンディショニングは受けないまま、新しい世界に私たちが長期間滞在すると、身体および感情にどのような影響があるかということである。

そして最後に、ハプティクス、つまり触る機能がある。私たちの周りの没入感がより「リアル」になるにつれて、その場で走ったり動いたりする能力、そして周囲の世界を感じる能力を得るためには、この新しい世界に向けた準備を整えるプレイブック、コーチ、あるいは誰かの助けが必要となる。

私が思い描くメタバースはオープンで、インクルーシブで、アクセスしやすく、体験的なものだ。これはあらゆるオープンスタンダードの目指すものだ。しかし、そうはならないだろう。現在はそうはなっていない。また、実際にメタバースについて言及する際には、閉じたネットワークのことを語っていることが良くある。

現在、特にメタバースとWeb3におけるインクルーシブ性はエリートにのみ割り当てられている。そして、これらの資産、ネットワーク、テクノロジーの多くのステークホルダーはエリートによって生み出され、エリートによって資金提供を受けていることが多いことは確かである。特により良い世界のシミュレーションを作成しようとしている場合には、インクルーシブであることが非常に重要となる。断続的であっても、それが私たちが今いるこの世界 を去る唯一の理由ではないか?

この仮想世界での人間の経験はどのようになるか?

メタバースで現在人々が経験しているエクスペリエンスは、大部分が彼らのために導入されたテクノロジーのインフラ上で構築されている。それがゲームであろうと、島を建設する能力であろうと、それらは全てその世界に固有の経験だ。

しかし、ゲーミフィケーションをストーリーテリングのように考えると、何かを定着性のある、場合によっては中毒性のある、ものにするだけでなく、何かを期待を込めて好きだと感じ、また戻ってきたい、誰かと共有したいと思うような体験にすることができる。メタバースが前進するために克服しなければならない最大のハードルの1つは、人々が以前は見えなかったものを見て、以前は知らなかったことを知り、以前は感じられなかったことや、感じられると知らなかったことを感じられるようにすることだ。

つまり、触るもの、匂い、見るもの、味わうものなど、その世界をナビゲートする方法のあらゆる側面について体験のデザインを考えていく必要がある。これらは全てストーリーの一部として設計されており、最高のゲームデザイナーは現実の世界の設計を活用して、最も体験的なメタバースを作成するだろう。

企業はメタバースにどのようにアプローチすべきか?

メタバースの本質はコミュニティである。このコミュニティに属することの価値とは、つまりコミュニティでユーザーとして果たすことができる役割であり、単なるユーザーはなくステークホルダーの一人と感じられることだ。 これは人に関わるハードルで、今のところ十分に議論されていないと思われる。メタバースであろうと、NFT、Web3、暗号資産、ブロックチェーン、仮想世界、ゲームであろうと、最も重要なことはレガシー企業に関して言えば、経営幹部、取締役会、および株主の多くは最終的にユーザーではないことが多いことを覚えておくことだ。

そして、戦略、意図、そして最終的なユーザーエクスペリエンスそれぞれの間には断絶がある。マーケティングはしても良い。ブランディングをしても良い。そして、これらのネットワーク内で製品を提供しても良い、それが企業の仕事だからだ。ただしコミュニティのルールと文化を尊重する方法で付加価値を提供し、コミュニティの参加者になることだ。

何かを決めつけるのではなく、好奇心を持って質問をする絶好の機会だと思われる。なぜなら、Z世代、そしてその後のアルファ世代はこれらのブランドやパートナーシップを運営する多くの経営幹部のように考えたり行動したりはしていないからだ。しかし、質問をすればするほど、好奇心が強くなり、決めつけなくなり、より共感できるようになり、価値創造とのつながりがより大きくなるだろう。

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