McKinsey Health Institute

人生をより長く、豊かに過ごす

| レポート

現在、私たちは人類の健康の歴史において重要な局面を迎えている。

健康は、様々な点で素晴らしい進化を遂げてきた。例えば、平均寿命は世界のほとんどの地域で、この1世紀の間に劇的な伸びを見せている。ところが、健康に問題のある状態および中程度の健康状態で過ごす期間の割合は変化していないため、別の見方をすると、過去のどの時代よりも健康に問題のある状態で過ごす時間が増えているといえる。また、各国内および国家間で、健康格差は依然として大きい。

私たちは、この状況を改善することができる――しかも迅速に。

新型コロナがもたらした危機に対し、人類は過去に類を見ないスピードと規模で対応した。完璧とは言い難いが、この成功体験は、実現可能と思えるものに果敢に立ち向かっていくよう、私たちを鼓舞するものとなるに違いない。新型コロナの対応時のように、リソースとモチベーションが結びついた時には、ごく短期間で科学の飛躍的進歩および大規模な行動変容を実現できることが証明されたのである。

今こそ私たちは、人の健康に関して画期的かつより意欲的で重要な目標を掲げるべき時である。それは、国、業界、地域社会が支援を行うことを推進して、地球上の誰もがより長く、より豊かに暮らせるようにするという目標である。この目標を達成することで、私たちは、大切な家族や友人と過ごす時間が増え、より多くのことを成し遂げ、一方で認知力や体力的な衰えを感じる期間は短縮させることができるようになるのである。

議論の出発点として、McKinsey Health Institute (以下、MHI)は、今後10年間で人類は質の高い暮らしを享受する期間を、全体で約450億年増加し得ると考える(1人当たりの寿命が平均で6年程度、一部の国や地域ではそれ以上に延伸すると想定1)。

この目標を達成するためには、社会全体で健康に対する既成概念を問い直し、公共政策および事業活動を抜本的に変革する必要がある

この目標を達成するには、社会全体で健康に対する既成概念を問い直し、公共政策や事業活動を抜本的に変革する必要がある。新たなビジョンを打ち立てるには、現代の健康の概念である身体的健康、心理的健康、社会的健康、精神的(スピリチュアル)健康2の4つの側面、およびこれらの要素に影響を与える諸因子を考慮に入れる必要がある。また、健康への支出は、コストではなく投資とみなすべきである。疾病負荷の40%に対処し得るとみられている有効な介入をさらに広範囲にわたって展開できるよう努めることが求められる3。従来のヘルスケア業界以外の組織によるイノベーションおよびリーダーシップを大幅に増強しなければならない。そして、各人が自身の健康を適切に管理できるよう、必要なサポートを提供する必要がある。

つまり、すべての組織、リーダー、そして個人が重要な役割を担うことになる。

セクション1

健康の現状: かなりの進歩を遂げてはいるが、まだ課題は山積している

良好な健康状態にあることが、生産的で楽しい人生を送るための基盤となる。私たちが健康でいることで、社会が発展し、経済成長を促進することができる。個人の人生の満足度に影響する上位3つの因子のうちの2つに、健康の社会的要素および身体的要素を挙げる専門家が年々増加している4。ヘルスケアにかける支出額は、世界全体で年間約8兆ドルまたはそれ以上となることも多く、GDPよりも速いペースで増加している5

過去数世紀にわたり、科学の進歩、様々なイノベーション、大規模な投資、そして公共、民間、ソーシャルセクター間の交流・連携が、人々の寿命の延伸および生活の質向上に貢献してきた。世界の平均寿命は、1800年から2017年の間に、30歳から73歳へと2倍以上延びている6。世界最後進国・地域では、平均寿命が過去20年間のみで10年延伸した7。米国では、1900年以降、幼児死亡率が90%、妊産婦死亡率が99%低下した8。また、ワクチン技術が大幅に向上したことにより、人類は天然痘やポリオといった致死的な感染症を根絶したり、感染拡大を抑制したりすることが可能となった9。1990年以降は、ヒトゲノム解析技術の飛躍的進歩、がん死亡率の大幅な低下、喫煙率の減少など、様々な進展がみられた10

1960年以降、世界の平均寿命は大幅に延びた
平均寿命,1 (歳)

人類がこれまでに成し遂げた進歩を認識し、学ぶことも重要であるが、同時に、今後社会が一丸となって達成すべきことがどれほど多く残されているかを確認することも必要である。

時代を経ても、生涯において健康に問題のある状態で過ごす期間の割合は減少していない。平均すれば、人生の約50%を健康ではない状態で暮らし、さらにその内の12%を健康に問題のある状態で過ごす1112。入手可能な最良のデータに基づくと、この割合は過去50年間でそれほど変化していないということが分かる。その結果、私たちは過去のどの時代よりも、中程度の健康状態および健康に問題のある状態で過ごす期間が長くなっているのである。状況は徐々に悪化しているとみられ、現在、特に高所得国では、人生のかなりの期間を慢性疾患に悩まされながら過ごす人の数が増加している(図表1)。人生の満足度に関する文献によると、人は重大な健康問題を抱えた時(「良好な健康状態」から「健康に問題のある状態」に移行した時と定義)の人生の満足度は、失業や配偶者との死別、離婚、離別した時よりも2倍、収入が半減した時よりも5倍の程度で低下する13

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人の健康を害する数々の既知の脅威に対して、依然十分に対処できているとはいえない。年間800万人が感染症で死亡しており、がん、糖尿病、循環器疾患、脳疾患の領域では、患者の多くのニーズがまだ満たされていない141516。1990年以来、メンタルヘルスに問題を抱える患者数は55%増加し、新型コロナ以前の研究者の予測によれば、2020年から2040年にかけて患者数はさらに17%増加するとしている171819。米国の自殺率は過去20年間で上昇傾向にあり、今では10歳から34歳までの人々の主な死因の2番目となるまでに増加している20。世界の認知症患者数は2050年までに3倍に増え、1億5千万人以上にのぼると予想されている21。慢性的な腰痛の増加は肥満との関係が深く、1975年以降、世界の人口に占める腰痛患者の割合は4%から13%へと3倍も増加している22。食料安全保障や感染症に関する問題など、気候変動も健康に悪影響をもたらす懸念がある。また気候変動は、特に低中所得国 (LMIC)の人々に対して健康面で大きな影響を与えるおそれがあるため、既存の様々な格差がさらに拡大する可能性がある2324

その中でも、健康格差は重要な問題で、国、各国内の地域、あるいはジェンダー、財産、その他の人口統計学上の属性によって、医療へのアクセスおよびアウトカム(医療の結果・成果)に差異が生じている。低所得国と高所得国の平均寿命は18年の差があり、また平均寿命が最短の国と最長の国との間では30年の差がある2526。妊産婦死亡率は、一部の低所得国では高所得国の50倍、場合によっては100倍高いこともある27。小児がん生存率は、高所得国では80%以上であるが、低中所得国では30%と低い28。ニューヨーク市では、非ヒスパニック系の黒人女性が妊娠関連の合併症で死亡する確率は、白人女性より8倍高い29。英国では、ロンドンの住民は、北東部の住民より寿命が3年長い30。世界全体で、女性のメンタルヘルスはこの15年で最悪な状況にあり、全体の平均を著しく下回っている31。特定のジェンダーに関するニーズに対応する必要があることは、ヘルスケアのステークホルダーの間である程度認識は高まりつつあるものの、依然としてギャップが存在する。例えば、循環器関連の臨床試験の参加者に女性が占める割合が世界全体で三分の一に留まっていたり、心不全に関して女性特有の発症機序や最適な薬の投与量などのデータ・情報が不足したりしている32

セクション2

野心的な目標の設定: 質の高い生涯を450億年延伸する

人類には、健康に関するより大胆な目標を設定・追求し得る資産、テクノロジー、能力、ノウハウが備わっている。MHIは、達成可能な目標として、平均的な生活の質の「向上」、良好な健康状態で過ごせる期間の割合の「増加」、世界全体の平均寿命の「延伸」を想定している(図表2) 33。低中所得国の場合、世界平均よりも高い成果が得られる可能性もある。

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このような目標を達成可能と考えた理由は何か。

人類には、健康に関するより大胆な目標を設定・追求し得る資産、テクノロジー、能力、ノウハウが備わっている

1つ目は、近年、所得水準を問わず、多くの国が健康寿命に関してこの10年以内で著しい成果をあげていることである。例えば、ボリビアで3.8年、アイルランドで3.0年、オーマンで2.6年、南アフリカで6.5年、タイで4.5年、南アフリカで6.5年延伸している34。また、特に長寿者が多く、高齢者の健康状態が極めて良好なブルーゾーンと呼ばれる地域、および国も存在する35

2つ目に、既存の知見を体系的、平等、大規模に適用することで、未開拓の大きな機会を創出できる可能性があることが挙げられる。McKinsey Global Institute (以下、MGI)が2020年に実施した調査によれば、既存の介入を適用することにより、2040年までに現在の世界の疾病負荷を約40%軽減し得るとみられている36。現在開発中の医療関連のイノベーションが実用化された場合、疾病負荷をさらに6~10%軽減できる可能性がある。3738

3つ目に、新型コロナに対する世界の対応を見ると、政府、企業、非営利団体、地域社会などが連携してリソースを集結させることで、驚くべきイノベーションおよび行動変容を迅速に実現できることが明らかとなったことである。世界は複数種の安全かつ有効なワクチンを開発したのみならず、数々の治療法や治療プロトコルも確立し、世界の何百万人もの医師が活用している3940。今回のパンデミックでは、自分たちにとってメリットであると確信でき、態勢が整えば、何十億人もの人々が行動を望ましい方向に修正できることが証明された(例えば、感染予防対策、手洗い、自己検査キットの活用など)。新型コロナ対応以外でも、その他の業界(テクノロジー、携帯電話・スマートフォン、自動車業界など)で、10年の間に同等または以前より低いコストで生産性、安全性、品質を大幅に改善した。

MHIは、寿命および生活の質の両方で達成可能な目標を実現するには、社会が様々な点で転換を図る必要があると考える。次のセクション以降、具体的に述べていく。

セクション3

健康の基盤: 現代の定義に基づく健康の各要素を理解する

これまで社会は、健康を疾患の有無で定義してきた。仮に何らかの疾患があっても、その疾患が寿命や身体機能に影響を及ぼさなければ、「良好な健康状態にある」とされた。より質の高い生涯を最大450億年追加するために、MHIは、個人の願望および最新の科学研究と密接に結びついた、より広義な健康の視点に立つことを提案する。世界保健機関(WHO)もウェルビーイングを重視して健康の定義を広げることを提案し、WHO憲章(1948年発効)に以下のように定義づけしている:「健康とは病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」。さらに数十年前より、「spiritual health」41という副次的要素も健康と関わっていると認識されるようになった。上記の考え方を表す最も一般的な語として、他のヘルスケア機関やリーダーたちもこの「spiritual health (精神的健康)」という用語を使用していることから、MHIもそれを踏襲する。なお、spiritual health (精神的健康)の度合いが高いといっても、必ずしも宗教的信念が含まれるというわけではない。しかし、残念ながら、健康に対するこうした広範な見方はまだ根付いていない。MHIは、WHOが提起したこのような定義を社会が取り入れ、それに基づいて行動することを推奨したい。

MHIは、以下の特徴を考慮して健康を把握することを提案する:

  • 包括性: 身体的、心理的、社会的、精神的な側面が関連し、相互に依存する
  • ポジティブな捉え方: それら側面において、単に病気の有無ではなく、個人の生理機能に応じて最適な健康状態を達成することが目標である
  • 機能の重視: 健康の意義は、人間関係の構築、仕事やボランティア活動、社会貢献に加えて、様々な目標を追求することを楽しみ、人生を謳歌することである
  • 様々な要因の影響: 健康は、個人の属性、個人の行動、介入、環境要素など様々な要因により影響される
  • 客観性: 健康は、時間、地域、医療システム、文化を横断して測定可能なものである

これまでの事例や経験的証拠は、この4つの側面が総合的に長寿および生活の質の両方に寄与することを示唆している。これらの側面のうち、いずれか1つでも損なうと、多くの場合苦痛を感じることになる。例えば、深刻な精神疾患により、寿命が10~25年短くなり得ることをグローバルデータが示している。社会的健康について言えば、孤独感や社会的孤立は、心臓発作や脳卒中の発症リスクの増大と関連性がある53。実際、ある調査によると、孤独や社会的に孤立していると感じると1日あたり15本のタバコを吸うのと同レベルで個人の健康にダメージを与えることが分かっており54、特に29%もの高齢者が孤独を感じているということを考えると、懸念すべき事柄であるといえる55。また、青年期に社会的なつながりを欠如すると、身体不活動と同レベルの炎症の増加を招き、高齢期に社会から孤立すると、糖尿病などの臨床的リスク因子よりも高血圧に影響を及ぼす56。ポジティブな側面に目を受ければ、米国の高齢者において、人生の目的が大きくなるほど脳卒中のリスクが減少する事例も報告されてる57

人の健康についてさらに深く理解するには、健康に影響を与える様々な因子を確認する必要がある。それらは、「個人の行動」「個人の属性」「環境の属性」「介入」という4つのグループに分類できる。「個人の行動」とは、睡眠、食事、運動、治療計画の順守などの個人の活動を指す。「個人の属性」とは、遺伝、学歴、人間関係など、一般的に(少なくとも短期間では)修正不可能な個人の特徴を指す。「環境の属性」とは、所定の状況においてあらゆる人々の健康に影響するもので、気候変動などの世界的脅威のほか、政治・経済体制などが含まれる。「介入」とは、変化を生じさせることを目的とした意図的な行動を指し、臨床的介入、資金援助、インセンティブなどが挙げられる。

セクション4

可能性を現実のものに: 転換すべき6つ項目

MHIの研究により、質の高い寿命を最大450億年延伸するためには、社会のマインドセットおよび行動面で、少なくとも6つの項目で大幅に転換を図る必要があることが示唆された(図表3)。これらは相互依存性および補完性が極めて強く、実施するには公共政策および事業活動の抜本的な見直しが求められる。

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転換1: 予防および最適な健康状態の促進への重点的投資

より質の高い生涯を最大こうさ億年延長するには、健康増進に向けて個人、政府、民間組織が金融資本および人的資本の投入を対GDP比で高める必要がある。健康関連の介入に向けた投資を拡大させることは、以前よりヘルスケアシステムの一部として考えられてきた領域のみならず、健康を改善し得るその他の領域(例えば、教育、栄養学、農業、消費財、金融サービス、テクノロジーなど)においても、妥当とみなされている。

健康への投資を拡大することは、経済的に合理性があり、消費者の選好にも合致している。MGIが発行したレポート「Prioritizing health: A prescription for prosperity (以下、「Prioritizing health」)」の推計によれば、既知の介入を効果的に拡大して世界の人々の健康を改善する場合、経済的利益のみを考慮しても、投資収益率(ROI)は2~4になりえる。個人は、一貫して健康の改善に高い優先度を置いている58。また、人生の満足度に影響する上位3つの因子のうち、健康の社会的要素および身体的要素の2つを挙げる専門家も年々増加している59。健康への投資の拡大と、生活水準や豊かさの改善との間には、国や時期によらず、明らかに正の相関関係が存在する。MHIは、両者に因果関係があると考える。高所得国においても、収穫逓減状態に達したとは思われない602019年にEU諸国が医療費に充てた割合は、対GDP比で平均8.3%である。この数値は、医療費の伸びが経済全体の成長と概ね一致していたため、2014年以降ほぼ横ばいとなっている。一方、米国では経済成長と歩調を合わせるように、医療費が対GDP比で過去20年間に6%ポイント増加している; “Health Expenditure in Relation to GDP,” Health at a Glance: Europe 2020: State of Health in the EU Cycle, 2020; “Current Health Expenditure (% of GDP),” WHO Global Health Expenditure Database, 世界銀行 (2021年1月19日); “Historical: National Health Expenditure Data,” Centers for Medicare & Medicaid Services (2021年1月19日)

MHIは、人々が真に人生を謳歌できるよう、治療に加えて予防および健康増進にも重点的に投資することを提案する。ここでいう健康増進とは、本来の生物学的能力を考慮したうえで、個人が可能な限り最高の身体的、心理的、社会的、精神的健康を達成・維持できるよう支援する活動をいう。

地域社会は、すべての人々が病気を治療するだけにとどまらず、より健康的な生活を送って人生を謳歌できるよう、必要な支援を提供すべきである

現在、健康への支出は極端に治療に偏っている。OECD諸国では、ヘルスケア関連予算の中で体系的な予防プログラム(例えば、ワクチン接種、疾患スクリーニング、健康教育など)に充てている割合は、わずか2.8%である61 62。低所得国は、予防措置にOECD諸国の10倍(予算に占める割合)費やしており、その割合は低所得国におけるヘルスケア関連予算の20~35%を占めている63。現在、最適な健康状態の達成に向けた投資およびイノベーションは、ほとんどが民間部門主導である。例えば、世界のウェルネス産業の市場規模は1兆5千億ドルと試算されているが、それは全世界で政府とNGOが予防医療および健康増進に支出する金額の約4倍に相当する64

さらに、道徳的および経済的な観点から、MHIはリソースが不足している地域への重点的な投資を行うことを提案する。これまで医療へのアクセスが困難な地域や、ヘルスアウトカム(治療などによる臨床上の成果)が平均以下である地域の健康を改善することで、経済成長を促進できる可能性がある。健康状態が改善すると、労働生産性および所得の向上につながる。例えば、低中所得国において1970年から2000年にかけて11%の経済成長を果たしたが、これは成人死亡率が低下したことによるものと考えられる65

このようなシフトを実現する最初の一歩として、各国政府にヘルスケア関連の政府機関をはじめ、それ以外も含むあらゆる政府機関(環境、教育、財務、貿易、農業、住宅、インフラなど)を対象に「健康の改善機会についての評価」の実施を検討することを提案したい。その評価によって、民間の活動に対する法律、規制、政府事業の実質的効果を含め、健康と最も重要な関連性を持つものは何かを把握し、ROIの高い潜在的な投資案件を発掘できる可能性がある66

転換2: 現代の概念で定義した健康の度合いを把握するため、より適切なデータで測定方法を改善

冒頭で述べた目標を達成するには、現代の概念で定義した健康度を測定する必要があるが、そのためには国際基準およびシステムを整備し、健康の各要素に関する大量の比較データを収集したり、透明性を大幅に高めたりすることが求められる。

理由は単純で、健康の改善を図るには、まず健康度を測定することが必須となるからである。測定することで何が有効で何が有効でないかを把握でき、リソース配分を効果的に行える。反対に、測定が不十分であった場合(または行わなかった場合)、無駄が生じたり、有望なイノベーションへの投資を増やせなかったりする。過度に一般化された測定も効果がない。例えば、自閉症に対する診断フレームワークは女性に特化したものがなく、女性における過小診断につながっていると言われている6768。したがって、調査の際にはサブグループ別にデータを収集したり、測定方法を調整したりする必要がある。

MHIの試算では、現代の概念で定義した健康に影響を与え、また測定し得る因子のうち、一貫性をもって定義したうえで体系的に収集し、データとして広く利用されているものは5%に満たない

MHIの試算では、現代の概念で定義した健康に影響を与え、また測定し得る因子のうち、一貫性をもって(またはいかなる形でも)定義したうえで体系的に収集し、データとして広く利用されているものは5%に満たない。現代の健康の定義を構成する大半の要素に関して、信頼性の高い測定基準やデータ(社会的健康や精神的健康のほか、栄養、雇用、住宅、睡眠の役割といった影響因子の大項目を含むようなもの)はほとんど存在しない。健康に関する研究の約75%は身体的健康を主要な評価項目として設定しており、心理的健康を対象とするものは12%、社会的健康は6%、精神的健康はわずか1%である69。大半の国において心理的健康に関するデータは極めて限定的であるか、または存在しておらず、地域毎に比較可能なデータも不足している。例えば、青年期の心理的健康に関するデータがない国は100ヵ国以上にのぼる70。また、OECDが測定した23種類の心理的健康指標のうち、OECD諸国の90%以上で利用可能であったのは、わずか2つの指標(「人生の満足度」と「自死」)のみであった71。さらに、「最適な健康状態」の定義づけや、個人がどの程度そのような状態を実現したかを継続的に測定するような試みはほとんど行われていない。

身体的健康(基準およびデータが最も豊富な領域)の測定でさえ、更なる改善の余地がある。高所得国は、主に有病率を把握し、医療的介入(処方、外来受診、手技など)を選定する。機能自体や健康状態(運動機能、毒素濃度、痛み、性的機能など)に関するデータを体系的に把握している国はほとんどなく、そのため利用可能なデータも極めて限定的である。低所得国の課題はもっと根本的なものであり、例えば、患者記録がデジタル化されていないこと、包括的なケアを行っていないために情報が他部門などに共有されていないこと、また診断技術に十分にアクセスできないことなどが挙げられる7273。一方で、インドでのポジティブな事例から、低中所得国においても時間をかければ全国レベルで保険医療情報登録システムを構築できるということを示している74

測定が不十分なことによる明らかなデメリットとして、医薬品以外の介入に対して厳密な実証的分析を行う際に高所得国が直面する問題が挙げられる。2007年以降、機能性表示食品(医薬品以外の介入カテゴリーの大項目の1つ)のうち、確実な科学的エビデンスに基づきEU基準を満たしているのは、わずか11%である757677。また、パソコンやスマートフォンにダウンロードして使用する2万種類ものメンタルヘルス関連のアプリのうち、FDA (米国食品医薬品局)に正式に検査・認可を受けているものは5種類のアプリにすぎない78

転換3: 有効な戦略や介入の拡大

MGIが発行したレポート「Prioritizing health」の推計によれば、既に有効性が確認されている介入を適用することで、世界の疾病負荷を約40%減少できる可能性がある79 (図表4)。既知の介入を幅広く展開することで、小児死亡率を65%低下させたり、平均的な65歳の人の健康度を今日の平均的な55歳の人のレベルにまで改善できたりする可能性がある。これらの数値は身体的健康の改善のみを対象としているが、実際には部分的に心理的健康にも関わっている。健康をより幅広い視点から捉えた場合、アウトカムが一層改善される可能性がある。高所得国の場合、ほとんどの改善機会は、糖尿病、がん、循環器疾患への対処にある。低所得国の場合は、基本的な保健インフラへの投資を拡大することで、成果が得られるとみられる80。さらには、疾病予防のソリューションを大幅に拡大したり、妊産婦、新生児、子供の健康および感染症や栄養障害に対する取り組みに重点を置いたりすることに、大きな改善余地が存在する。

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過去の経験から、既存テクノロジーの適用を拡大することは極めて困難であることが分かっている。例えば、B型肝炎ワクチンを世界中に展開できるようになるまで17年以上の年月を要した。また一部の低中所得国では、1型糖尿病と診断されてからの生存期間は1年と短いが、これは多くの場合、インスリンの価格が高く入手できないためである818283

有効な介入を拡大するには、社会で認識を高めたり、個人、政府、保険者(雇用主を含む)、医療提供者(医療機関など)から介入を適用することに対するコミットメントを得たりする必要がある。これらの各グループには、短期的な捉え方や偏見を克服し、高いROIを確保しつつ既知の介入の適用を増やすために、戦略、方針、インセンティブを確立できる機会がある。前述のように、このような適用を推進するには、多くの場合で大規模な純投資を必要とする。

有効な介入を拡大させるもう1つの鍵は、国や地域といった文脈を超えて実績ある介入を適用することである。様々な文献資料の中で、同一の疾患、同一の地域内であっても、医療提供者によってヘルスアウトカムが異なることが示されている84858687。最悪の場合には、医療システム、特に医療提供者は、過度に自身の仕組みにこだわってしまうことがある。例えば、南インドのAravind Eye Care Systemは、高品質かつ低コストで白内障手術を提供する効率的なシステムを開発した88。ところが、このシステムは高所得国を含む世界の他の地域でも有効となる可能性があるにも関わらず、適用されているのは主に地元の地域に限られている。

転換4: イノベーションの促進および迅速化

今後、イノベーションは、ビジネスモデル、政策、インセンティブ制度、医薬品、医療機器、医療用具、臨床試験の基準、モバイルアプリ、プロセス改善、既存技術(人工知能など)の応用などの領域をはじめとして、あらゆる形態で一層促進することを求められる。イノベーションを加速させるには、基礎研究の強化、および縦割りを排して協働作業を推進し、最も有望なコンセプトを迅速かつ効果的に発展させ、規模拡大していく必要がある。

新型コロナワクチンの例を見ない開発・展開スピードは、公衆衛生の進歩を劇的に加速させることが可能であることを示す事例となった

イノベーションは、健康への投資を増大させると共に、健康関連での進歩を促進する原動力でもある。1世紀前に科学者が糖尿病とすい臓でのインスリン分泌との結びつきを特定すると、創薬および商業化の絶え間ない連鎖が糖尿病患者の人生を変えたのである89。米国では、新規の手術手法、検出ツール、標的療法90の寄与もあり、がんの死亡率が1991年~2019年の間に32%低下した91Rebecca L. Seigel et al., “Cancer Statistics, 2022,” CA: A Cancer Journal for Clinicians, (2022年1月) Volume 72, Number 1。新型コロナワクチンの例を見ない開発・展開スピードは、社会の意志、インセンティブ、リソースが結集すれば、公衆衛生の進歩を劇的に加速させることが可能であることを示す事例となった。新型コロナワクチンは、創薬から最終製品を世界中に展開させるまで12ヵ月未満で行われた。ワクチン開発は、通常、完了するまでに10年以上を要する高リスクのプロセスである。新型コロナ以前で、最速で開発されたワクチン(1967年のおたふく風邪用)でも創薬から上市までに4年かかっている。

一方で、イノベーションが期待ほど進展していない領域も多数存在し、その原因の多くは市場の失敗である。例えば、薬剤耐性(AMR)の脅威が差し迫っているにもかかわらず、新規の抗菌剤および代替治療手段のイノベーションは十分に進んでいない。その原因の一つとして、研究開発への投資を促すインセンティブが不十分であることが挙げられる9293。抗菌剤のパイプラインは、がん治療などの他の治療領域と比べてかなり脆弱である。比較例を一つ挙げると、2017年から2020年にかけて、がん免疫療法薬では1,751件が前臨床研究段階にあり、45件が承認を受けた。同じ期間に、前臨床研究段階にあった抗菌剤はわずか292件であり、承認を受けたのは11件であった94FDA、年度別の新薬承認(2021年、2020年、2019年、2018年、2017年)および生物製剤承認。2017年7月1日から2020年9月30日までの抗感染症薬・抗菌薬の承認。FDAによる承認のみをカウント。適応症数ではなく、医薬品の品目数。全分子・新分子に対する承認。95

生命科学(ライフサイエンス)業界での更なるイノベーションに加えて、他の業界や領域においてもイノベーションが急速に進展しており、特に応用人工知能、次世代コンピューティング、分散コンピューティングなどの新興テクノロジーを適用96することにより、人類は便益を得られると考えられる。さらに、ヘルスアウトカムを向上させるという点で、デジタルヘルス分野のイノベーションが最大限のポテンシャルを発揮するのはまだこれからといえる。この分野での新規イノベーションや優れたイノベーションを促進しようとする勢いが、特にベンチャー企業やプライベートエクイティ企業でみられる。デジタルヘルス分野へのベンチャーキャピタル投資は、2021年に過去最高の290億ドルに達したが、この額は2020年のほぼ倍に相当する97。有望なコンセプトとして、ウェアラブル(例えば、活動量計、心臓の異常の検出、血糖値モニタリング用のパッチ、姿勢検出により痛みを緩和する理学療法など)、遠隔手術、AIを活用した診断などが挙げられる。遠隔医療は、新型コロナの影響で2020年に世界中で爆発的に広まった。米国では2020年に38倍増加し、一部の患者は引き続き遠隔医療を希望している9899

すべてのプロセスと影響因子を確認し、期待するヘルスアウトカムに影響を及ぼすすべてのステークホルダーを巻き込む形で、イノベーションのエコシステムを形成することが求められる

イノベーションから最大のポテンシャルを引き出すには、イノベーションの方法を再検討する必要がある。すべてのプロセスと影響因子を確認し、望ましいヘルスアウトカムに影響を及ぼすすべてのステークホルダーを巻き込む形で、イノベーションのエコシステムを形成することが求められる。このようなイノベーションであれば導入がスムーズに進み、社会の端から端までの調整・連携が容易となり、その結果、消費者や患者の持続可能な行動変容を効果的かつ効率的に支援し、また患者がたどる一連のプロセスを改善することができる。そうしたイノベーションの一例として、2030年までに結核の世界的流行を終息させることを目指す「ストップ結核パートナーシップ」が挙げられる100。 同組織は、結核の治療開始から終了に至るまでの最適な流れを定義し、また主要な介入を特定してそれぞれにステークホルダーを割り当てた。次いで、すべての関係者が同一のデータ基準に基づき、取り組みを連携することで、効果的かつ拡張可能なエコシステムが構築された。効果的なエコシステムのもう一つの例が、アムステルダムにも存在する。同市では、複数の部署(健康・医療関連以外の部署も含めて)が協働し、健康およびウェルビーイングに関する極めて野心的な目標に取り組んでいる101102103

インパクトの大きいイノベーションを創出するには、政府および民間部門の両方で包括的かつ目的指向のアクションが必要である。社会的ニーズが最も高い領域でイノベーションをより効果的に促進できるよう、政府は投資、予算、規制、通常のプロセス、知的財産制度、保険償還基準、法律などを調整することが望ましい。政府のアクションは、市場の失敗のリスクが高い領域で、特に重要になるとみられる。個人、および保険会社や雇用主などの民間の保険者は、有望なイノベーションを追及し、そこからのリターンを得るために、消費パターンや保険償還基準の適用方法を検討すべきである。より有効なイノベーションを促進するには、ヘルスケア業界以外の企業が、健康分野を新興市場やコア市場として認識し、参入、創造的破壊、追及していくことが重要である。

転換5: すべての業界が持つポテンシャルの最大化

設定した目標を達成するには、従来のヘルスケア業界以外の企業が、これまで以上に積極的に健康関連のビジネスチャンスを追求し、従業員の健康増進に努め、健康関連のESG (環境・社会・ガバナンス)目標をより明確に定義してそれらを達成する必要がある。

雇用主が従業員の健康に影響を及ぼし、従業員の健康がパフォーマンスに影響するということに鑑みると、健康は世界のすべての企業に深く関連しているといえる。ある調査によると、回答した企業の68%が従業員のウェルビーイングおよびメンタルヘルスは戦略的な最優先事項であると述べている104。また、別の調査では、従業員の健康度が低いと年間約3兆5千億ドルのコストが発生するとしている105。英国では、2019年~2020年の間にメンタルヘルス関連の疾患によって1,790万労働日が失われたが、これは健康に問題のある状態によって喪失した全労働日の半分以上に相当する106。多くの企業で、健康もESG目標の一部となっている。しかし、フォーチュン500企業の66%がサステナビリティレポートを発行している一方で、新型コロナ以前に健康への影響に関する報告書を発行した企業はわずか約4%である107。従業員の健康増進を図る体系的な制度や指針を策定・導入した企業となると、さらにその数は限定的となる。

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また、MHIの推計によれば、S&P 500構成企業の中でヘルスケア業界には属していない企業のうち、40~45%が個人の健康に(好影響、悪影響を問わず)直接影響する商品やサービスを提供している(図表5)。健康と関連性が高い製品やサービスを扱う業界には、食品・栄養食品、消費財、ソーシャルメディア、運輸、ゲーム、旅行、消費者金融サービス、健康・医療関連以外の保険、住宅、冷暖房システムなどが含まれる。これらの業界の企業は、健康との関連性をより積極的に利用することで、既存および新規のヘルスケア分野に参入できる様々な機会が生まれる。その一方で、一部の企業は自社の製品やサービスが及ぼし得る健康上好ましくない影響を把握し、それらを緩和することを求められる。

加えて、健康との結びつきが直接的でも強くもない企業であっても、従業員の健康を増進し、健康に関連するESG(環境・社会・ガバナンス)目標を達成できる機会が存在する。

転換6: 各人が自身の健康を管理できるよう支援を提供

より質の高い生涯を最大450億年延伸するためには、個人が自身や家族などの健康について主体的に管理できる能力を高める必要がある。個人の行動は、個人の健康を左右する最大要因である。複数の研究が示すところによれば、世界全体の死因のうち、修正可能な行動(食事、活動レベル、睡眠、服薬順守、喫煙など)に起因するものが約60%を占めている108。また、心理的、社会的、精神的な要素を含む、現代の概念で定義した包括的な健康の観点から見ると、個人のマインドセットや行動と、健康との関連性が一層大きくなる。私たちの生活のほぼすべての要素および私たちが下す選択のほとんどが、健康に影響を与えているのである。

国や文化を問わず、消費者は以前にも増して自己管理能力を高めることを望んでいる

国や文化を問わず、消費者は以前にも増して自己管理能力を高めることを望んでいる。消費者は、ヘルスケア以外の領域でスピード、利便性、パーソナライゼーション、情報への容易なアクセスなどを体験し、自身の健康についても同様のものを期待している。組織への信頼が低下している地域が少なくなく、それに伴い自律的に行動する必要性を感じる個人が増加している109。また、世界では依然として医療費を自費でまかなっている地域が多く、この場合は個人に課せられる負担が一層重くなる。

新型コロナでの経験は、大規模な行動変容が可能であることを示唆している。パンデミックの間、何十億人もの人々が自身と家族を守るためにマスクを付け、社会的距離(ソーシャルディスタンス)を取るといったように、日常の行動を大きく変えた。行動経済学の知見も、自身の利益を最大化する意思決定を下せるよう、個人への動機づけや能力の向上を図る方法を示唆している。行動科学(行動経済学を含む、人間の行動に関する自然・人文・社会科学の総称)において「ナッジ」とは、個人の選択を制限したり、経済的インセンティブを変えたりすることなく、人々の行動を変える手段と定義されており、これにより、個人やグループの行動や意志決定に影響を及ぼすことができる。例えば、医療関連感染の件数を減らすために、医療従事者の間でナッジを活用して手指衛生を改善したケースもある110。目的を持ったナッジの他にも、社会的ネットワークおよびそれに関連する文化、マインドセット、行動などが、健康に関する個人の意思決定や行動に大きな影響を与えることが知られている。個人の自己管理能力を向上させるには、政府の取り組みや効果的なイノベーションが必要となり、また従来のヘルスケア関連のステークホルダーが適応することなども求められる。例えば、政府は、法律、規制、インセンティブ、政府主導のヘルスケアサービスをどのように適合させるのが有効であるかを検討すべきであろう。さらに政府は、環境、構造、制度をどのように適合(または創造)すれば、消費者が容易に健康的な選択ができるようになるのかを検討すべきであると考える。

個人の自己管理能力を高めるには、運動、睡眠、摂取カロリー、姿勢などの最適化をサポートするモバイル機器や遠隔アクセスなどのテクノロジーを活用したイノベーションが必要となる。低・中・高所得国のいずれにおいても、個人の自己管理をサポートするイノベーションが急激に拡大している。例えば、インドの農村地域ではスマートフォンのおかげで医療機関へのアクセスが格段に改善された111。また中国では、約2億人の消費者が、中国平安保険の「平安グッドドクター」を利用して、オンラインでの健康相談、最適な医師の紹介依頼、病院の予約などを行っている112。また、2019年に行ったある調査で、米国人の21%がスマートウォッチやフィットネストラッカーを使用していると報告されている113

また、ヘルスケア関連のステークホルダー(特に、医療機関や臨床医)は、自分自身で健康を管理することを希望する多くの患者の願いにどのように対応すべきかを検討することを求められる。医療提供者は、患者と共に作成した治療プランを定義・実行するのをサポートするコーチのような役割を果たすことも考えられる。また、前述のように、従来のヘルスケア業界以外の領域で創出された新たなテクノロジーを活用したソリューションを、数多く取り入れることも検討すべきであろう。

セクション5

本格的な取り組みへ

地球上のすべての人の健康を劇的に改善するには、アイデアを出し合い、健康に関する測定基準をすり合わせ、組織などの壁を超えて様々なステークホルダーが協働するといったエコシステム全体での包括的なアプローチをとる必要がある。実現し得る最長の寿命および最高の生活の質を手に入れるには、社会のマインドセットおよび行動を転換することが鍵となるが、そのためには前例のない規模での連携が必要になると考える。

McKinsey Health Institute (MHI)は、マッキンゼーに設立された長期的展望に基づく非営利目的の機関であり、あらゆる地域、業界、コミュニティにおける寿命の延伸および暮らしの質の向上に向けた活動を促進することを目的として様々な取り組みを実施している。この目的を達成するために、MHIはヘルスケアリーダーの各種会議への招集や支援、研究の推進、オープンデータアセットの構築・促進、イノベーションの創出といった多様な形態での協働を通じて、様々な組織・機関との強力なネットワークを構築している。公共分野でのリソース、イノベーション、データ、および知見を共有することで、他組織で既に有効性が確認されている施策を活用し、エコシステムにおけるパートナーと共に同じ目標に向かって積極的に立ち向かうことを期待している。

MHIは、このようなエコシステムを共に構築することに関心があり、意欲的に取り組んでいただける組織との連携を歓迎する。前述の、転換すべき6つの項目、およびまず注力すべき7つの主要領域(脳の健康、健康な生活、感染症、健康格差、持続可能性と健康、高齢化、医療従事者のキャパシティ)に関して協働できる機会を積極的に模索している。

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